学校の応急対応 · 読了目安 約5分

学校の応急対応:青・黄色・赤で「次の行動」を選ぼう

原著講義:大庭由宇吾医師(OMS)

この記事の目次(全8章)
  1. まず一言で
  2. 最初に「赤」のサインを確認
  3. 青・黄色・赤は「行動の色」
  4. 3つの例で考えてみよう
  5. 同じ子、同じ日でも取るべき行動は変わる
  6. 今日の一歩
  7. まとめ
  8. このテーマを、学校のみんなで
学校の黒板に「学校の応急対応」「青・黄・赤で次の行動を選ぼう」と書かれ、青は手当と観察、黄は受診、赤は119番。保健室の先生、男の子、女の子、男性教師の4人のカワウソが並び、右下に日直欄がある。
青・黄色・赤は、次の行動を選ぶための目安。タップして拡大できます。

まず一言で

病名を当てなくても大丈夫。危険なサインを見つけて、次の行動を選びましょう。

「保健室で休ませてよい?」「病院へ行く?」「救急車を呼ぶ?」。学校の応急対応で迷う場面を、信号の青・黄色・赤で整理します。対象は養護教諭・学校職員です。この5分講義では、60分講義で扱う14のテーマから、鼻血・頭部打撲・熱中症の3つを選んで学びます。

最初に「赤」のサインを確認

現場の安全を確かめ、意識・呼吸・顔色や出血・悪化の様子を見ます。[1]

  • 呼びかけへの反応や会話が普段と違う。
  • 明らかに息苦しい、普段どおりの呼吸ではない。
  • 大量の出血、顔色不良や冷汗があり、ぐったりしている。
  • 急速に悪化している、重い外傷が疑われる。

こうしたサインは、応援を呼び、119番と必要な応急手当を進める目安です。管理職への報告や保護者への連絡より、救命処置を優先しましょう。複数の職員がいれば、役割分担して同時に進めます。[1]

青・黄色・赤は「行動の色」

青|手当+観察

軽く、安定し、手当で改善。

再評価・記録・引き継ぎまで。

黄色|医療機関へ

学校で完結できない症状・けが。

保護者と連絡し、速やかに受診。

赤|緊急対応・119番

意識・呼吸・循環の異常や急速な悪化。

応援を呼び、手当と通報を進める。

これはOMS講義の教育用分類で、災害時の標準的なトリアージとは異なります。黄色は受診の手配を進める色、青も再評価が必要な色です。状態が変われば、行動も変えます。

3つの例で考えてみよう

1.鼻血:まず手当、その後も観察

座って少し前かがみにし、小鼻の柔らかい部分を10〜15分ほど、途中で離さずつまみます。上を向かせません。[2,3]

青:手当+観察黄色:速やかに受診赤:緊急対応・119番
止血でき、顔色や会話は普段どおり正しく圧迫しても出血が続く大量の出血、顔色不良や反応低下がある

赤のサインがあれば、圧迫時間が終わるのを待たず、手当と119番を同時に進めます。止まった後も、再出血がないか確認しましょう。

2.頭部打撲:「最初は元気」だけで決めない

運動を止め、打った時刻・状況、会話、歩行、頭痛、嘔吐などを確認・記録します。[4,5]

青:手当+観察黄色:速やかに受診赤:緊急対応・119番
軽い打撲で、会話・歩行が普段どおり。症状がなく経過も良い頭痛・めまい・記憶の抜け・複数回の嘔吐などがある反応が鈍くなる、歩行がおかしい、けいれん、麻痺、急速に頭痛が増す

頭を打った後は、時間を追って見直すことが大切です。 脳振盪が疑われる日は競技に戻しません。一人にせず観察し、保護者へ経過と悪化時の対応を引き継ぎます。[4]

3.熱中症:「大丈夫」より、返事と行動

活動を止め、涼しい場所へ移し、衣服をゆるめて体を冷やします。水分・塩分を補給するのは、意識が正常で安全に飲める場合です。[6]

青:手当+観察黄色:速やかに受診赤:緊急対応・119番
意識は正常。冷却と補水で速やかに十分改善する意識は正常だが、飲めない、改善しない、症状が再び出る返事や言動がおかしい、まっすぐ歩けない、けいれん、意識消失

赤なら、119番と体の冷却を同時に。意識がおかしい子には飲ませません。 体温の数値を待つ必要はありません。黄色でも、安全な搬送が難しい場合や悪化した場合は119番です。[6]

同じ子、同じ日でも取るべき行動は変わる

暑い日の部活動で、男の子が「少し気分が悪い」と保健室へ来ました。架空の例で、判断の変化を体験してみましょう。

① 冷却と補水で、速やかに十分改善した

意識・会話は普段どおり。安全に飲めます。青:観察を続けます。 活動には戻さず、経過を見直します。

② その後、吐き気が戻り、水分を飲めなくなった

意識は普段どおりでも、黄色:冷却を続け、速やかな受診を手配します。 保護者の到着待ちで対応を遅らせず、安全に搬送できない場合は119番です。

③ 「大丈夫」と言うが、返事がちぐはぐになった

赤:119番と冷却を同時に。 意識障害のサインです。飲ませず、一人にせず、応援を呼びます。

色を一度決めても、それで安心せず、観察を続けましょう。 この例では、最初は青でしたが、その後、黄色を経て赤に変わりました。

今日の一歩

子どもの「大丈夫」だけで青と判断せず、様子・呼吸・顔色などを確認して黄色や赤を見逃さないようにしましょう。

まとめ

  • 病名より先に、意識・呼吸・全身状態と悪化を見る。
  • 青は手当と観察、黄色は受診、赤は緊急対応・119番。
  • 状態が変われば、行動も変える。

Before / After:理解の変化

Before

症状の原因を考えるうちに、保健室でみるか、受診か、救急車かの判断に迷っていた。

After

危険なサインと経過を確認し、次の行動を考えられる。手当の後も状態を見直し、職員や保護者へ引き継ぐようになった。

4問で確認|次の行動を選ぼう

文字で答えても、問題の動画を見てから答えてもOK。選ぶと解説が表示されます。

問題を動画で見る

再生ボタンで音声付きの問題が流れます。文字からも回答できます。

鼻血が止まり、顔色も会話も普段どおりです。「青」の対応として適切なのは?
答えと解説を見る

正解:A。青は「手当+観察」の色です。止血後も再出血や全身状態を確認し、担任・保護者に経過と注意点を引き継ぎます。

問題を動画で見る

再生ボタンで音声付きの問題が流れます。文字からも回答できます。

頭を打った後に2回嘔吐。会話と歩行は正常で、悪化はありません。次の対応は?
答えと解説を見る

正解:B。複数回の嘔吐は速やかな医療評価が必要です。この例は黄色の目安ですが、反応低下・歩行異常・増悪する頭痛などが出れば赤。保護者の到着待ちで必要な対応を遅らせず、安全な搬送が難しければ119番です。

問題を動画で見る

再生ボタンで音声付きの問題が流れます。文字からも回答できます。

暑い日の部活動中、「大丈夫」と言う子の返事がちぐはぐです。適切なのは?
答えと解説を見る

正解:C。返事や言動がおかしいのは意識障害のサインです。体温の数値を待たず、119番と冷却を同時に行います。意識がおかしい子には飲ませません。

問題を動画で見る

再生ボタンで音声付きの問題が流れます。文字からも回答できます。

倒れた子に反応がなく、普段どおりの呼吸か分かりません。まず取る行動は?
答えと解説を見る

正解:D。反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または判断できない場合は心停止を疑います。119番とAEDを依頼し、胸骨圧迫を開始。あえぐような呼吸は正常な呼吸ではありません。119番の電話に出る消防の職員とAEDの指示に従います。

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60分研修では、場面を増やして「判断と行動」を練習します。

今回の3つに加え、傷・骨折・眼や歯の外傷・やけど・胸腹部外傷、発熱や腹痛、失神・けいれん・喘息・アナフィラキシー・心停止を扱います。症例クイズで考え、BLS・AEDの基本と、119番・保護者連絡・救急車誘導などの役割分担を確認します。

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この教材は一般的な教育用です。学校の危機管理マニュアル、児童生徒の個別対応計画、119番の電話に出る消防の職員の指示に従ってください。色分けだけで安全を保証するものではありません。

参考文献・情報源

  1. 文部科学省.学校事故対応に関する指針【改訂版】(2024年3月).
  2. 日本赤十字社.多量の出血・鼻出血.
  3. 東京逓信病院.鼻出血(鼻血).
  4. 日本臨床スポーツ医学会 脳神経外科部会.頭部外傷10か条の提言.
  5. 福岡脳神経外科病院.こどもの頭部外傷.
  6. 日本スポーツ協会.熱中症の救急処置.

情報確認日:2026年10月5日。