
まず一言で
病名を当てなくても大丈夫。危険なサインを見つけて、次の行動を選びましょう。
「保健室で休ませてよい?」「病院へ行く?」「救急車を呼ぶ?」。学校の応急対応で迷う場面を、信号の青・黄色・赤で整理します。対象は養護教諭・学校職員です。この5分講義では、60分講義で扱う14のテーマから、鼻血・頭部打撲・熱中症の3つを選んで学びます。
最初に「赤」のサインを確認
現場の安全を確かめ、意識・呼吸・顔色や出血・悪化の様子を見ます。[1]
- 呼びかけへの反応や会話が普段と違う。
- 明らかに息苦しい、普段どおりの呼吸ではない。
- 大量の出血、顔色不良や冷汗があり、ぐったりしている。
- 急速に悪化している、重い外傷が疑われる。
こうしたサインは、応援を呼び、119番と必要な応急手当を進める目安です。管理職への報告や保護者への連絡より、救命処置を優先しましょう。複数の職員がいれば、役割分担して同時に進めます。[1]
青・黄色・赤は「行動の色」
青|手当+観察
軽く、安定し、手当で改善。
再評価・記録・引き継ぎまで。
黄色|医療機関へ
学校で完結できない症状・けが。
保護者と連絡し、速やかに受診。
赤|緊急対応・119番
意識・呼吸・循環の異常や急速な悪化。
応援を呼び、手当と通報を進める。
これはOMS講義の教育用分類で、災害時の標準的なトリアージとは異なります。黄色は受診の手配を進める色、青も再評価が必要な色です。状態が変われば、行動も変えます。
3つの例で考えてみよう
1.鼻血:まず手当、その後も観察
座って少し前かがみにし、小鼻の柔らかい部分を10〜15分ほど、途中で離さずつまみます。上を向かせません。[2,3]
| 青:手当+観察 | 黄色:速やかに受診 | 赤:緊急対応・119番 |
|---|---|---|
| 止血でき、顔色や会話は普段どおり | 正しく圧迫しても出血が続く | 大量の出血、顔色不良や反応低下がある |
赤のサインがあれば、圧迫時間が終わるのを待たず、手当と119番を同時に進めます。止まった後も、再出血がないか確認しましょう。
2.頭部打撲:「最初は元気」だけで決めない
運動を止め、打った時刻・状況、会話、歩行、頭痛、嘔吐などを確認・記録します。[4,5]
| 青:手当+観察 | 黄色:速やかに受診 | 赤:緊急対応・119番 |
|---|---|---|
| 軽い打撲で、会話・歩行が普段どおり。症状がなく経過も良い | 頭痛・めまい・記憶の抜け・複数回の嘔吐などがある | 反応が鈍くなる、歩行がおかしい、けいれん、麻痺、急速に頭痛が増す |
頭を打った後は、時間を追って見直すことが大切です。 脳振盪が疑われる日は競技に戻しません。一人にせず観察し、保護者へ経過と悪化時の対応を引き継ぎます。[4]
3.熱中症:「大丈夫」より、返事と行動
活動を止め、涼しい場所へ移し、衣服をゆるめて体を冷やします。水分・塩分を補給するのは、意識が正常で安全に飲める場合です。[6]
| 青:手当+観察 | 黄色:速やかに受診 | 赤:緊急対応・119番 |
|---|---|---|
| 意識は正常。冷却と補水で速やかに十分改善する | 意識は正常だが、飲めない、改善しない、症状が再び出る | 返事や言動がおかしい、まっすぐ歩けない、けいれん、意識消失 |
赤なら、119番と体の冷却を同時に。意識がおかしい子には飲ませません。 体温の数値を待つ必要はありません。黄色でも、安全な搬送が難しい場合や悪化した場合は119番です。[6]
同じ子、同じ日でも取るべき行動は変わる
暑い日の部活動で、男の子が「少し気分が悪い」と保健室へ来ました。架空の例で、判断の変化を体験してみましょう。
① 冷却と補水で、速やかに十分改善した
意識・会話は普段どおり。安全に飲めます。青:観察を続けます。 活動には戻さず、経過を見直します。
② その後、吐き気が戻り、水分を飲めなくなった
意識は普段どおりでも、黄色:冷却を続け、速やかな受診を手配します。 保護者の到着待ちで対応を遅らせず、安全に搬送できない場合は119番です。
③ 「大丈夫」と言うが、返事がちぐはぐになった
赤:119番と冷却を同時に。 意識障害のサインです。飲ませず、一人にせず、応援を呼びます。
色を一度決めても、それで安心せず、観察を続けましょう。 この例では、最初は青でしたが、その後、黄色を経て赤に変わりました。
今日の一歩
子どもの「大丈夫」だけで青と判断せず、様子・呼吸・顔色などを確認して黄色や赤を見逃さないようにしましょう。
まとめ
- 病名より先に、意識・呼吸・全身状態と悪化を見る。
- 青は手当と観察、黄色は受診、赤は緊急対応・119番。
- 状態が変われば、行動も変える。
Before / After:理解の変化
Before
症状の原因を考えるうちに、保健室でみるか、受診か、救急車かの判断に迷っていた。
After
危険なサインと経過を確認し、次の行動を考えられる。手当の後も状態を見直し、職員や保護者へ引き継ぐようになった。
4問で確認|次の行動を選ぼう
文字で答えても、問題の動画を見てから答えてもOK。選ぶと解説が表示されます。
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再生ボタンで音声付きの問題が流れます。文字からも回答できます。
青は「手当+観察」の色です。止血後も再出血や全身状態を確認し、担任・保護者に経過と注意点を引き継ぎます。
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正解:A。青は「手当+観察」の色です。止血後も再出血や全身状態を確認し、担任・保護者に経過と注意点を引き継ぎます。
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再生ボタンで音声付きの問題が流れます。文字からも回答できます。
複数回の嘔吐は速やかな医療評価が必要です。この例は黄色の目安ですが、反応低下・歩行異常・増悪する頭痛などが出れば赤。保護者の到着待ちで必要な対応を遅らせず、安全な搬送が難しければ119番です。
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正解:B。複数回の嘔吐は速やかな医療評価が必要です。この例は黄色の目安ですが、反応低下・歩行異常・増悪する頭痛などが出れば赤。保護者の到着待ちで必要な対応を遅らせず、安全な搬送が難しければ119番です。
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返事や言動がおかしいのは意識障害のサインです。体温の数値を待たず、119番と冷却を同時に行います。意識がおかしい子には飲ませません。
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正解:C。返事や言動がおかしいのは意識障害のサインです。体温の数値を待たず、119番と冷却を同時に行います。意識がおかしい子には飲ませません。
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再生ボタンで音声付きの問題が流れます。文字からも回答できます。
反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または判断できない場合は心停止を疑います。119番とAEDを依頼し、胸骨圧迫を開始。あえぐような呼吸は正常な呼吸ではありません。119番の電話に出る消防の職員とAEDの指示に従います。
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正解:D。反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または判断できない場合は心停止を疑います。119番とAEDを依頼し、胸骨圧迫を開始。あえぐような呼吸は正常な呼吸ではありません。119番の電話に出る消防の職員とAEDの指示に従います。
職場のみんなでも学んでみませんか。OMSでは、このテーマを60分の研修として扱っています。
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このテーマを、学校のみんなで
60分研修では、場面を増やして「判断と行動」を練習します。
今回の3つに加え、傷・骨折・眼や歯の外傷・やけど・胸腹部外傷、発熱や腹痛、失神・けいれん・喘息・アナフィラキシー・心停止を扱います。症例クイズで考え、BLS・AEDの基本と、119番・保護者連絡・救急車誘導などの役割分担を確認します。
養護教諭・担任・管理職など、学校職員の研修として、内容・時間をご相談いただけます。
まだ内容が決まっていなくても相談できます。
この教材は一般的な教育用です。学校の危機管理マニュアル、児童生徒の個別対応計画、119番の電話に出る消防の職員の指示に従ってください。色分けだけで安全を保証するものではありません。
参考文献・情報源
- 文部科学省.学校事故対応に関する指針【改訂版】(2024年3月).
- 日本赤十字社.多量の出血・鼻出血.
- 東京逓信病院.鼻出血(鼻血).
- 日本臨床スポーツ医学会 脳神経外科部会.頭部外傷10か条の提言.
- 福岡脳神経外科病院.こどもの頭部外傷.
- 日本スポーツ協会.熱中症の救急処置.
情報確認日:2026年10月5日。